1999年夏・南アルプス単独縦走1/13 ページ
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム
千頭→(バス:30分)→寸又峡温泉→(1時間40分)→エボシトンネル→(20分)→
平の沢トンネル→(20分)→メガネトンネル→(15分)→千頭ダム
南アルプスには何度も足を運んでいるが、北岳を始め、仙丈、甲斐駒、鳳凰などにしか行っていない。最も南でも農鳥岳までであった。
これはいけない。南アルプス南部にも行かなくてはと思い立ったのが1999年のこと。
ではどの山に行くか?
行くならば日本最南端の3000mを誇る山である聖岳にターゲットを設定。計画を立て始めた。
しかし、いざ計画を立て始めると、「聖岳に行くなら赤石岳もセットだよなぁ」「赤石岳行くなら、悪沢岳も近いしなぁ」「三伏峠まで行ったら、塩見岳も行かねばなぁ」と考えはじめてしまい、結局は光岳〜北岳までの南アルプス縦走という計画にまで膨れ上がってしまった。
はっきりいって、今までは最大5泊までの山行しか経験したことがなかった。しかもそのときのメンバーは4人。
今回は単独で10泊の予定なので、荷物の量も半端ではない。パッキングした後に家で背負ってみると、今までに経験したことがない重みが肩にのしかかってきた。ゆうに30kgは超えていると思われる。
こんなの背負って、しかも1人で歩けるのだろうかと、ふと心配にもなった。
何はともあれ、梅雨も明けた7月末に、山の人となるべく旅立つことになる。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走自宅のある東京から電車を何度か乗り換え、東海道本線の金谷(かなや)駅に到着。ここからはSLで有名な大井川鉄道に乗り換える。
「旅はやっぱり各駅停車だ!!」と思っているボクなので、当然新幹線など使わず、東京から小田原、熱海、沼津、静岡と乗り継いでやってきた。
ここからSL急行なんかも乗れたが、各駅停車で大井川の風景を楽しみながら、終点の千頭(せんず)駅に到着。
既に夕方近くになっていたため、本日の幕営地を大井川河川敷とした。
幕営地も決まり、大井川沿いをしばし散歩してると、カヌーで下っている親子を発見。鉄橋にはSLなんかも走り、のどかな時間が過ぎていった。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走ここが本日の幕営地。
夕食なんかをゆっくり食べていたが、その後突然の雷雨に襲われる。
あっという間にテントのまわりは水びだし、テントの下まで水たまりになり、今晩はウォーターベッド状態で寝る羽目に...

翌日も朝から雨だった。
とりあえず下界とはしばらくの間離れるので、ここぞとばかりに冷たいコーラをガブ飲み。山に上がったら、こんなにガブガブ飲むことはできないんだろうなぁと、コーラの味を舌に焼き付ける。
コーラも飲み終わり、水を吸って更に重くなったテントを背負い、千頭駅前からバスで寸又峡(すまたきょう)温泉へGO!!
30分程で到着し、間髪入れずに早速歩き出す。時刻は8:30。

ちなみに寸又峡温泉近辺に幕営できそうな場所は見あたらなかった。
このコースを行く予定がある方で、寸又峡に幕営しようと考えているならば、前もって関係機関に問い合わせをしておいた方が無難かと思われます。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走さて、寸又峡温泉でバスを降りて、その道をひたすらまっすぐ進み、しばらくすると、眼下に大間ダムが見えてくる。
ここで重要な選択を強いられる。
今来た道をそのまま進み、飛竜橋を渡って寸又川右岸林道に出るか、ここからダムまで下り、ダムの上に架かっている夢の吊橋を渡って、同じく寸又川右岸林道に出るか。
当然どちらを選んでも結果は同じ場所に出る。しかし、前者は、標高差はないが距離がある。後者は、距離は短いが、大きく下って大きく登り直さないといけない。結構悩みどころ。
このとき、ボクは後者を選択し、大間ダムに向かって一気に下っていったのだった。
下りきると、そこには夢の吊橋が架かっている。橋の幅も狭く、荷物が重いため、結構怖かった。
この橋は、寸又峡温泉の観光スポットらしく、人が多い場合は渡るのに時間も要するし、一方通行制限になるときもあるらしい。(この日は雨模様だったため、観光客らしき人は誰もいなかった)
なので、さっきの道をそのまままっすぐ進み、飛竜橋を渡るルートを行った方が賢いかもしれない。
夢の吊橋を渡りきると、今度は林道まで一気に登る。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走寸又川右岸林道に出ると、それを右に進む。しばらく行くと展望所があり、さらに進むと右の写真のようなゲートに出くわす。
このゲートは当然開いてない。しかも、人間が通れるような隙間もない。
「まさかこのゲートを乗り越えていかねばならないのか?」とも思ったが、近くにいた人に聞いてみると、どうやらゲートの右側の崖を下るように通過するらしい。
はっきりいって、初めてこのゲートの前に立った人なら、そんな通過方法は絶対にわからないと思う。
登山者のために看板くらい設置してくれてもいいのになぁと思いながら、無事にゲートを通過。しかし、ここから雨が更に激しくなってきた。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走このまま寸又川右岸林道を千頭ダムまでひた歩く。するとトンネルにぶつかった。
当然トンネル内に照明はなく、暗闇の世界。
おそるおそる歩いて行くが、トンネル中央のカーブ地点にくると、本当に何も見えなくなってしまった。はっきりいって目をつぶっているよりも暗い。しかも足元には溝があったりするので、このままではこれ以上歩行不可能と判断。慌ててザックの中から懐中電灯を取り出し、1つ目のトンネルを通過。
このようなトンネルがエボシトンネル、平の沢トンネル、メガネトンネルと3つも続いた。
ここを通る方は、懐中電灯をあらかじめ用意しておくことをお薦めします。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走ようやく千頭ダムに到着。長かったぁ…2時間半も要した。地図によると、30分もかからないような書き方なのに...
でも、寸又峡温泉まで10kmの看板を発見。
当たり前だ。10kmを30分で歩ける訳がない。この地図おかしいんじゃない?
ブツブツと文句をたらしつつ、ここからはアスファルトの道とおさらばし、ちょっとした登山道となる。

千頭ダムを渡り、写真にある石碑の真裏から寸又川左岸林道までの道が延びている。
千頭〜寸又峡温泉〜千頭ダム | 南アルプス単独縦走これが千頭ダムの湖面。なにやら神秘的な色を醸し出している。
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